4.06.2 統合レポート
結合レポートは、あるファイルの一部を他のファイルに移動するためのレポートです。主に、複数のファイルから成るソリューションをひとつの(あるいは、なるべく少ない)ファイルにまとめるためのツールです。1つの分析のデータを使い、ソースファイルとターゲットファイルを指定して実行します。あるファイルからテーブルを別のファイルに移す場合には、1つまたは複数のテーブルを指定することもできます。
統合レポートの処理は高度に最適化されていて、大規模な移行を最小の労力で実施できます。既存の機能の名称を変えたり、既存の機能が動かなくなったりすることも最小限で済みます。いつ変更すればいいか、ほかの移行部分に依存する変更点は何かを最適化する、優れた機能が多数組み込まれています。
全ステップを以下に解説します。これらのステップを手動で実行することもできますが、統合レポートを使えばこれらのステップをシンプルで簡単にまとめて、今後の作業のチェックリストを作成できます。
詳細
- 新しいファイルに存在しないファイル参照を作成し、名前が一致するようにします。つまりファイルAへの参照は、どちらのファイルでも同じ名前になります。
- カスタム関数を作成します。カスタム関数の依存関係のチェックには注意が必要です。単純なコピー&ペーストですが、カスタム関数はフィールドを参照でき、しかもそのフィールドにはまだアクセスできないおそれがあることに注意する必要があります。問題がある場合には、関数は作成するが計算式を空にしておくか、計算式中にあとで問題を解決するというメモを入れます。
- 値一覧を作ります。同じ名前の値一覧が存在する場合、
1) 他のファイルをポイントしている外部の値一覧でカスタムのものなら、そのファイルと同じカスタム値になります。
2) フィールドに基づくものなら、そのままです。
3) カスタム値であり他のものと異なるなら、一方または両方の名前を変更する必要があります。
4) 外部のものであり別のファイルをポイントしているなら、オリジナルの名前を変更し、同じ値、同じ名前の新しい値一覧を作成する必要があります。いずれかの値一覧でフィールドを作成する必要がある場合には、あとで解決するというマークを付けます。 - 作成するテーブルと同じ名前のフィールドがすでに存在しないかどうかチェックします。移動するテーブルと同じ名前のテーブルオカレンスがないこともチェックします。存在する場合は、ターゲットファイル側で名前を変更します。
- それから新しいファイルにテーブルオカレンスを作成し、移行するリレーションシップグラフを一致させます。すべてのテーブルオカレンスについてそのようにしますが、例外が1つあります。「ベースとなる」テーブルオカレンスは作成せず、テーブルと同じ名前にする必要があります。ファイル参照を使ってすべてのテーブルオカレンスが正しいベースのテーブルをポイントするようにします。これらの新しいテーブルオカレンス間には、リレーションシップをいっさい作成しません。基本的にはつなぐ作業をせずにリレーションシップグラフを作成します。できるだけ同じ場所に配置すれば、より簡単です。テーブルオカレンスが1つだけでテーブルオカレンスとテーブルが同じ名前であるテーブルでも、テーブルオカレンスを作成する必要はありません。
- 前のファイルからすべてのテーブルを新しいファイルにコピー&ペーストします。これにより、すべてのテーブルのテーブルオカレンスとレイアウトが1つずつ作られます。フィールド間のリレーションシップが存在していなくても計算式はすべて動いているので注意してください。
- リレーションシップグラフで、失われているリレーションシップをすべてつなぎます。
- 先ほど作成したテーブルオカレンスのベースとなるテーブルを変更し、前のファイルからのものをすべて新しいファイルにあるテーブルのテーブルオカレンスに移行します。これらがファイルの参照ではなくローカルのファイルを使うように変更します。
- 値一覧に戻り、使用するフィールドを指定し直して新しいローカルのテーブルを使うようにします。
- カスタム関数に戻り、空のままになっていたフィールドを使っていた計算式を元に戻します。
- ソースファイルにあったレイアウトをすべて作成しますが、空のままにしておきます。
- 新しいファイルのアクセス権セットをすべて作成します。スクリプトのための特別なアクセス権がある場合は、この部分は後ほど行います。
- カスタムメニューセットをすべて作成しますが、スクリプトを使用している場合は空のままにしておきます。
- すべてのスクリプトをコピー&ペーストします。
- レイアウトを変更し、レイアウトのパートとサイズを設定します。
- レイアウトオブジェクトをすべてコピー&ペーストします。
- レイアウトトリガをすべて追加します。
- スクリプトのための特別なアクセス権を使用していたアクセス権セットを変更します。
- オーバーライドのアクションを使いスクリプトをコールしているカスタムメニューを変更します。
- 前のファイルにあったスクリプトをコールするスクリプトステップをすべて変更して、新しいローカルのファイルをポイントするようにします。これはローカルのスクリプトですが、ほかのファイルのスクリプトもソースからターゲットへ変更する必要があります。
統合レポートを使うメリットは、特に注意を要する値一覧、関数、ステップをすべて把握できることです。作成後に変更する必要があるものはどれか、途中の過程で影響を受けるのはどれかを知る必要があります。自分で見つけることもできますが、レポートを使えばもっと簡単にわかります。
移行後
詳細を移行する作業がすべて終わったら、新たにデータベースデザインレポートを実行して、ファイル(ソースファイルも含めて)に関する全内容をベースエレメンツにインポートします。以前にはなかったターゲットのエラーが、何らかのミスで発生しているかもしれないのでチェックします。
ソースファイルをポイントしている参照も確認しましょう。ソースファイルを表示し、「ファイル参照」タブを開きます。「このファイルへのファイル参照」のポータルの上部にある矢印をクリックします。すべてのファイル参照を調べ、このファイル参照を使用している場所を変更して、参照がどこにも使われていない状態にします。この時点で参照を削除できます。ソリューションからはずすソースファイルをポイントしている参照がなくなったら、取り除いてかまいません。